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目次
若者世代の半数以上が「スマホ疲れ」。その要因はSNS
若者の「スマホ疲れ」を読み解く3つのSNSによる「アテンション」
「アテンション・デトックス」消費が活発化。すでに7割が行動を開始
SHIBUYA109 lab.所長が分析!
①WEB調査
調査期間:2026年2月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用しスクリーニング調査を実施
居住地:一都三県
性別:男女
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・大学院生・短大生・専門学生
回答者数:574名
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・デプスインタビュー
対象者条件:高校生 男性1名・女性2名、大学生 男性2名・女性3名 合計8名
・その他過去定性調査をもとに考察
若者世代の半数以上が「スマホ疲れ」。その要因はSNS
SHIBUYA109 lab.では『SHIBUYA109 lab.トレンド予測2026(2025年12月発表)』の結果から消費ムードを分析したところ、「スマホなし旅行」「BeRealノート(投稿を印刷し、アルバムを制作する)」などスマホから意識的に離れる行動を行っている傾向が見られました。その実態をより深く把握するため今回の調査を実施するに至りました。
今回、574名の15歳~24歳を対象に実施した調査では、「スマホ疲れを感じている」と62.2%が回答しました。さらに、「スマホ疲れ」を自認している人のうち、「自身の『スマホ疲れ』の一番の要因はSNSだと思う」と回答したのは79.3%にもおよび、SNSが「スマホ疲れ」に大きく影響しているのがSNSだということがわかります。
また、「SNSの利用時間を減らしたい」という回答は67.6%となり、約7割の若者世代が、SNSに疲れているだけではなく、SNSにふれる時間を減らしたいと感じていることがわかっています。定性調査では、「(スマホを触り続けることが)自分に悪い影響があると思ってるのに、ずっと開いてしまう。そんな自分にイライラしてしまい、イライラすることに疲れる。」「布団に入ってからスマホを触る習慣があり、3時間経っていることがあり、やばいと思っている。目が痛く睡眠不足なので、健康になりたい。」などの声が聞かれました。
SHIBUYA109 lab.が実施した『Z世代の承認欲求に関する意識調査(2024年1月実施)』では、「多くの友達と繋がる自分のメインのアカウントは非公開(鍵)アカウントである」という質問に対して「はい」と回答した割合は68.7%でした。また、『Z世代の
SNS利用最新動向2025(2025年7月実施)』の調査では、主に投稿する用途で利用されるSNSはInstagram ストーリーズやBeReal. など、クローズドかつエフェメラルなSNSが主流となっており、共有範囲が狭く、長時間のこらない投稿をすることで、不特定多数からのアテンションを集めることを避ける傾向が高まっています。
若者の「スマホ疲れ」を読み解く3つのSNSによる「アテンション」
スマホやSNSをきっかけに生まれている「疲れ」の要因は、「アテンション(注目すること・されること)」であると考え、アテンションを「自分に対するアテンション(投稿や閲覧など自分の行動が起点で生じるアテンション)」「人に対するアテンション(SNSを起点に生まれる周囲とのコミュニケーションで生じるアテンション)」「情報に対するアテンション(ニュースや炎上投稿など自身が求めていなくても自動的に入ってくる情報に生じるアテンション)」の3つに分類しました。
「スマホ疲れ」の要因を聴取したところ、最も多い回答は「気づいたらSNSで時間が消えている(43.1%)」、次いで「寝る前にだらだら見ちゃうせいで寝不足になる(36.4%)」「スクロールすると新しい情報が次々に更新される(26.3%)」という結果となり、ストレスを感じている項目として各分類内の一項目当たりの選択人数の平均が最も多かったアテンションは、「自分に対するアテンション」という結果となりました。
定性調査でそれぞれのアテンションにおける具体的な疲れを聞いてみたところ、以下の結果となりました。
また、「スマホ疲れ」の背景になる感情を聴取したところ、全体では「面倒くさい(25.8%)」「不安(25.2%)」「自己肯定感が下がる(24.4%)」という回答が多くなっています。
インタビューでは「友人とのメッセージのやりとりが多くなると、反応や返信し続けることが段々面倒になる。」「フェイクニュースや信ぴょう性に欠ける内容も流れて来るので、不安に思うこともある。」「投稿に対する周りからの反応が少なかったりすると自己肯定感が下がる。」という声があり、何気なく動画や投稿を見ていても様々な感情が生れているようです。
さらに、各アテンション別で見ていくと「自分に対するアテンション」については「不安(32.1%)」「虚無感(30.4%)」「劣等感(25.7%)」、「人に対するアテンション」については「不安(37.8%)」「自己肯定感が下がる(37.2%)」「孤独感(32.7%)」、「情報に対するアテンション」においては「不安(33.2%)」「面倒くさい(31.9%)」「自己肯定感が下がる(31.4%)」といった回答が全体の数値よりも高いことがわかりました。
SNSに投稿するのは、素敵な場所に行った時の写真など、「自分のキラキラしているところ」です。他者からの反応が嬉しい反面、他者の投稿と比較してしまい、自己肯定感が下がるなど、SNS上で能動的に行動することで、自信を無くすことに繋がっていることがわかりました。
若者とSNSにおいて、承認欲求を満たす場として語られることはありますが、実際は他者との繋がりを感じられる「場」としての要素が強く、この「ゆるく繋がり続ける状態」も、彼らの疲れの要因になっています。
過去に実施した『Z世代の承認欲求に関する調査』でも、「SNSを通じて承認欲求が満たされていると感じる」と回答した人は39.8%にとどまり、ほとんどが「当てはまらない」と回答しています。
「アテンション・デトックス」消費が活発化。すでに7割が行動を開始
今回の調査でも、「SNSやスマホから離れた時間を持ちたい」と思っているZ世代は、スマホから離れた時間でやりたいこととして、「リラックス(43.6%)」「リフレッシュ(41.1%)」「一つのことに集中する時間を持つ(37.2%)」を挙げています。
インタビューでは「ずっとスマホやSNSを見ていると頭が疲れてくる。ぼーっとしてくるのでリラックスやリフレッシュする時間が欲しい。」「運動や読書などの一つのことに没頭する時間が足りていないので、意識的に時間を作りたい。」などの声が聞かれました。
さらに、スマホから離れるためにやっていることがあると答えた若者は、すでに7割以上におよび、具体例として「散歩(20.2%)」「読書(20.2%)」「映画館に行く(16.4%)」といったアクティビティが挙げられています。スマホから離れ、「アテンション・デトックス」したいという欲望は、すでに実際の消費行動にも影響をおよぼし始めていることがわかります。(図7)
インタビューでは「スマホを置いて外に散歩をしてみたい。リフレッシュができそう。」「読書にハマっているときはスマホをいじる回数が減る。」「映画を観ている時間は映画に集中していて絶対にスマホをいじらない。だからのめり込めて楽しい。」との声が聞かれました。
SHIBUYA109 lab.所長が分析!
「アテンション・デトックス」はスマホに再び戻るためのエネルギーチャージ行動。スマホを安心して手放せる体験の提供がカギ
Z世代たちはデジタルネイティブであることから、スマホやSNSから完全に離れるのではなく、SNSでの情報収集やコミュニケーションに再び戻るための「エネルギーチャージの機会」として、アテンション・デトックス消費が広がると予測しています。企業のマーケティングの観点では、若者が安心してスマホから離れることができるオフライン体験を設計・提供することが重要です。そして、陶芸や編み物などのクラフト体験や映画館など、スマホを両手から手放さないとできない体験や場所は、「アテンション・デトックス」の場として再定義することもできそうです。Z世代にとって「安心してスマホの手放せる体験設計のポイント」をおさえる必要が高まってきていると言えるでしょう。






