REPORT
レポート
SHIBUYA109 lab.
2019.03.26
#エンタメ・カルチャー
【東大研究員×フリュー×SHIBUYA109 lab.連載企画】プリ帳HISTORY 第11回
「プリ帳」からガールズカルチャー史をひも解く本連載。第11回目のゲストは、女子大生マーケターとして活躍中のもーちぃさん。
毎回ゲストを迎えて「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。 “盛り”を研究する久保友香先生。誕生以来若い子たちを魅了し、その青春を写し出してきたプリントシール機シェアNo.1のフリュー株式会社。そして長年若者の流行を見続けてきたSHIBUYA109の視点をかけ合わせることで、各世代のプリ帳を考察していきます。 第11回目のゲストは、女子大生マーケターとして活躍中のもーちぃさん。
これまでプリを1000枚以上撮影、HARUHARUの女子大生エディターとしてプリの情報も発信している“プリマスター”の彼女にお話を伺いました!

ゲストの「プリ履歴書」

【研究メンバーはこの3人】

 

久保友香先生

シンデレラテクノロジーを研究

稲垣涼子さん

フリュー株式会社『ガールズトレンド研究所』で所長を務める

長田麻衣

「SHIBUYA109lab.」で所長を務める

小2でプリ初撮影!その瞬間にハマる

初めてプリを撮ったのはいつですか?

小2の時、都心に引っ越したのですが、転校先の友達と原宿へ遊びに行った際に、初めてプリを撮りました。

プリにハマったきっかけは何だったのですか?

もう初めてプリを撮った時にはハマっていましたね。私、学校で「ブス」と言われたことがあって、顔にコンプレックスがあったんです。プリを一緒に撮った子が、撮り慣れていて可愛く写っていたのが羨ましくて、もっと自分も可愛く写りたいという気持ちが芽生えてハマりました。

小学生にして「盛り」への意識があったのですね!

外見でいじめられていたことで「盛りたい欲」がかなり強くありました。自分がブスな要因ってなんだろう…二重じゃないから盛れないんだとか、ひたすらどうすれば盛れるかを研究しました。その結果、美容関係に強くなって、小2の時にアメブロの美容ブログを始めました。

小2でブロガーに?どんなことを発信していたのですか?

小学生の美容ブログなんて誰にも読まれないと思ったので、高校生とOLと偽って2つのブログを更新していました。内容は、二重にする技とか、メイク前と後のBefore&Afterとかだったんですけど、振り幅があった方が面白いと思っていたので、素の自分も公開していました。

そのブログはまだ残っていますか?

アカウントを忘れてしまい…。黒歴史が詰まっているので、消したいです(笑)。

 

お年玉を全額プリに使ったことも!プリ研究に励む日々

 

プリを撮る目的は何だったのですか?

こんなにプリを撮っていますが、シールに対してあまり思い入れがないんです。とにかくデータ画像が大事で、撮る度「今日のプリ、盛れたらSNSのアイコンにしよう!」と楽しみにしていました。データは取得できるようになってから、全部保存していますね。

周りの人と、プリを見せ合う文化はありましたか?

見せ合うことはありませんでしたね。友達のを見るというより、私の場合、ブロガーさんとかモデルさんとかのプリを見て研究していました。ギャルって落書きが上手だなーとか(笑)。

よく見ていたブログやサイトはありますか?

Popteenのブログがあった時代、当時人気だったモデルさんが記事をたくさん書いていて、そういうのを見ていましたね。あとは、知らない人のプリをたくさん保存して、今度こういうのを私もやろう!って思っていました。

プリに対しての意識が高い!

小学生の頃から、かなりの量のプリを撮っていたのですか?

1回遊びに行くとだいたい4〜7回くらい。小6の時には、中学受験のストレスも重なって、貰ったお年玉全額をプリつぎ込むという事件もありました(笑)。2万円!

2万円!? ご家族の反応はどうでしたか?

流石に言えなかったです(笑)。

 

 

プリは、どんな友達と撮っていたのですか?

中2のころから10代女子で商品開発などをしているグループに入って活動していたので、学校外の友達との交流が多く、よく撮っていました。

プリを撮る上でどのような工夫をしていましたか?

立ち位置とメイクです。右に立った方が盛れるとか、この機種はこのリップが盛れるとか。

プリでリップの色がつき始めたのが2013年、ちょうどもーちぃさんが中学3年生の時ですね!

当時していたメイクも今思うと結構濃いんですけど、プリで撮ると光の加減で丁度いいんですよ。プリと自撮りで盛ることしか考えていなかったので、直接見てどう思われるかなどは正直どうでもよかったです。

パジャマや制服など、お友達とおそろいの服で撮影しているものが多くありますが。

私の場合、遊びついでにプリを撮るのではなく、プリついでに遊ぶというスタイルだったので、事前に洋服を打ち合わせて、盛れる小物を持って行くのがお決まりでした。着替えは、ゲームセンターのトイレで。そういうプリをSNSにアップすると「可愛い!」って反応があるので、それが嬉しくてやっていました。

SNSにプリを載せたことで交流が生まれたこともありましたか?

そうですね。逆に「この子とプリ撮りたいな」と思って繋がって、遊んだこともあります!

よく一緒に撮るお友達はいますか?

 

 

“映え友”がいます!プリに対するモチベーションが一緒で、好きな立ち位置も逆、身長も近いのでお互い丁度いいんです!私は自分が可愛いと思えないので、自分より可愛くない人と撮っても可愛いプリは撮れないと思っていて。でも女優さんレベルで可愛い人だと差がつきすぎて悲しくなるので、10人に1人くらい「もーちぃの方が可愛い」って言ってくれる感じの相手がベストですね(笑)。“映え友”はまさにその条件に当てはまっています!

撮る相手も重要なのですね!

 

 

多くのWEB媒体に関わっていますが、どういう経緯で関わることになったのですか?

もともとTwitterやmixiでプリに関して発信はしていたのですが、高2の終わりころにWEBマガジンを作りたいと思って、フミコミュ内の女子高生向けWEBマガジン「SORENA」を立ち上げました。

小学生の頃からブログをやっていますし、発信することには慣れていますよね。

「フミコミュ」の中に、プリ研という盛れるプリの撮り方や可愛い落書き方法、最新プリ機を紹介するというページがあったのですが、大人の方が考えていたので少々ネタ切れ感あったので、1年くらいその企画を若者目線で担当させてもらいました。それをやっている時にHARUHARUの編集長に声をかけていただいて、ライターをやらせてもらうようになりました。振り返ると、プリ好きが高じて、いろいろやらせてもらっています!

はい。プリの情報はもちろんのこと、他にもアプリやコスメなど「盛り」に関する記事や、K-POP、ヘアメイクなど「韓国」に関する記事をよくアップしてくれていて、人気のライターさんです!

フリューのプリモ研究生にもならせていただいて、自分のプリのことを発信させてもらっていたのですが、私の場合、コース別で撮るなどなるべく情報になるものを発信していました。自分自身に価値があると思っていないので、何か発信する時は情報を与えなくちゃって思っていて。

確かにもーちぃさんはみんなに役立つ記事が多いですよね!ちなみに、「プリでの撮影」と「スマホでの自撮り」の違いは何だと思いますか?

自撮りはいつでもできるし、お金もかからないのでお手軽ではあるのですが、ワクワク感はプリよりありません。盛れなくても落ち込まないんですけど、プリは盛れなかったら1日落ち込みます。プリはお金をかけているので戦い!みたいな(笑)。

撮る時が本当に勝負なのですね!

いえ、お金入れる前からプリは始まっています!ポイントメイクを濃くしたりとか。

なるほど!プリの写りに合わせて、お化粧によるリアルな準備があるのですね。各機種のプリの写りを、よく研究しているのですね。

私は本当にプリの写りというものに価値を感じています。画質はいいけど隠したいところは隠してくれる、プリの中の自分の顔が好きですね!

プリの会社の者としてはとってもありがたいお言葉です!

あえて日本で購入していた“韓国風ファッション”

 

プリを撮る上でファッションも意識していましたか?

こだわりたかったのですが、あまり洋服代をくれる家庭ではなく、小学生の時はユニクロばかりでした。中学生になってからは制服があったので、プリは制服で撮ることが多かったです。

その後、どのようなファッションの変化がありましたか?

高校に入ってからアルバイトを始めたので、プチプラの服を自分で買うようになりました。系統があまり決まっていなかったので、友達に合わせて変えることも多かったです。

友達に合わせてファッションの系統を使い分けているのが、今どきの若者ですね!

韓国風ファッションにはもともと興味があって、オルチャンメイクは中2の時からやっていましたね。高2高3くらいの時に、韓国風ファッションが割と安くなってきたので買うこともありました。

どこで買っていましたか?

カラフルなプリーツスカートにTシャツ、ラインソックスという日本でよく言われていた「韓国風ファッション」って実際の韓国で着られているファッションとは違うんですよね。なので当時はあえて通販サイトのGRLや、WEGO・SPINNSなどで韓国風ファッションを買っていました。今は韓国で売っている洋服がいいなと思うので現地で買うことが多いです。

自分の外見が好きじゃない人も撮ってほしい!

 

プリについて、同世代の他の人と自分が違うと思うことってありますか?

普通プリってどこ行ったとか何食べたとか記念とか記録の要素が強いと思うんですけど、私のプリには「◯◯行ってきたよ」とかいう記録的な落書きはないかも…!「仲良し」とかもないと思うし、どちらかというとオシャレな単語を書くようにしていましたね。「シュガーガール」とか(笑)!

もーちぃさんにとってプリは作品となのですね!プリに熱中していた中高時代を振り返ってどうですか?

もう「趣味=プリ」だったので、甲子園球児が野球を愛して日常の一部になっていたように、私もプリを愛して日常の一部になっていたと思います。

改めて、もーちぃさんにとってプリとは、どのような存在ですか?

よく遺影はプリか自撮りにしてほしいって言っているんですけど、盛るとかプリへの愛情がとにかく深いので、これからもずっと撮っていきたいものですね。

最後に、今の同世代や中高生に伝えたいことはありますか?

プリや自撮りが好きな人って、自分のことが可愛いと思う人だと思われがちですが、私は違うと思っています。私の場合、コンプレックスがたくさんあるけど、でもこう撮ると意外といけるじゃん!って思うこともあるし、自分の発見にも繋がると思います。

確かに、プリや自撮りが好きな人ってどんどん可愛くなっていくと見ていて思います。他人からどう見られているかなどをかなり研究しているので。

自分のことが好きになれるチャンスが隠れていると思うので、あまり自分のことが好きじゃない人に是非プリや自撮りを撮ってもらいたいなって思います!

 

 

取材・文/高尾ひとみ

 

 

 

PROFILE

 

稲垣 涼子 Ryoko Inagaki

2005年入社以来、プリントシール機の商品企画に携わる。現在はマネージメントも行う。
趣味は、美味しいもの、漫画、カラオケ、ホットヨガ、ダイビング、脱出ゲーム。なんでも記録するログ癖あり。
今年の目標は、社内の仕組みを整える、社外の方とたくさんお話する、家をキレイに保つこと!

久保 友香 Yuka Kubo

東京大学大学院博士課程修了(環境学博士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師、東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員など歴任。著書に『「盛り」の誕生―女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』(太田出版、2019)。
好きなものは、ビール、羊羹、芸能ニュース。
今年の目標は、昨年に引き続き、昭和初期を知るおばあちゃんたちとたくさん会うこと。

 

長田 麻衣 Mai Osada

総合マーケティング会社を経て、SHIBUYA109のマーケティング担当となる。
毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
今年の目標はSHIBUYA109 lab.所長として若者に関する講演に講師として登壇すること。そして「大人っぽさ」と「透明感」を兼ね備えた女性になること。

もーちぃmochi

大学2年生20歳。女子大生マーケターとして執筆活動や講演会等を行っている。10代の流行の分析を得意としており、新大久保在住のため韓流ブームに特に関心を持って情報発信している。
趣味はツイッターで現在30個のアカウントを所持。映画好き50代サラリーマンになりきったアカウントのフォロワーが1000人突破!