REPORT
レポート
SHIBUYA109 lab.
2019.07.23
#エンタメ・カルチャー
【シンデレラテクノロジー研究者×フリュー×SHIBUYA109 lab.連載企画】プリ帳HISTORY 第15回
「プリ帳」からガールズカルチャー史をひも解く本連載。第15回目は、中学時代に雑誌『ピチレモン』の専属モデルを務め、現在はNHK名古屋放送局のキャスターとして活躍する、カトリーナこと加藤里奈さん。
毎回ゲストを迎えて、「プリ帳」から日本のガールズカルチャー史をひも解く連載企画“プリ帳ヒストリー”。
第15回のゲストは、中学時代に雑誌『ピチレモン』の専属モデルを務め、現在はNHK名古屋放送局のキャスターとして活躍する、カトリーナこと加藤里奈さん。小中高と生徒会長を務め学校行事にも力を入れていたという加藤さんに、学生時代の話やプリの話などを伺いました!

ゲストの「プリ履歴書」

 

 

【研究メンバーはこの3人】

 

久保友香先生

シンデレラテクノロジーを研究

稲垣涼子さん

フリュー株式会社『ガールズトレンド研究所』で所長を務める

長田麻衣

「SHIBUYA109lab.」で所長を務める

 

プリ帳の数が凄い!「趣味=プリ」だった学生時代

(上:小学生時代/左下:中学時代/右下:高校生以降 のプリ帳)

 

プリ帳の数がとにかく多いですね!

小・中学生の頃は、とにかくプリを撮ることが好きで「趣味=プリ」でした。小学生時代だけでプリ帳は6冊あります!

私が見てきたプリ帳の中でも飛び抜けて量が多いです!小学生時代に撮った機種の多さは日本一かも…!

いつまでプリ帳を作っていましたか?

高校受験が始まる頃まで作っていて、そのあとは袋にそのまま入れて保管していました。

2007年くらいに全国的に“プリ帳離れ”が進んでいるので、まさにその時期ですね。

友達とプリを交換していましたか?

はい、「プリ交しよう!」と言ってよく交換していました。自分のプリを増やすためにカラーコピーをしていたら、母が「撮るのにお金がかかるのに、まだお金使うのか!」って怒っていました(笑)。

 

確かに、すごい量ですもんね!

 

漫画で研究!大好きだった90年代文化

 

90年代の文化が好きということですが、きっかけは何だったのですか?

幼稚園生で既に、コギャルへの憧れを持っていたのですが、小1の時に漫画『GALS!』の連載が始まって、ギャルへの憧れが高まりました。

プリでもeggポーズをしていますね!

付け爪の代わりにビニールテープをつけたり、厚底を履いたり、チューブトップを着たり、足にブレスレットつけたり…今以上にオシャレに気を遣っていました。

ませてる!!!

あと、『GALS!』に出てくる蘭ちゃんのセリフで「ギャルはTu-Ka(ツーカー)にハイビでしょ?」というものがあったので、真似を(笑)。ちなみに携帯は小2から持っていました。

雑誌やテレビではなく漫画がメインの情報源だったのですね!そういうギャルスタイルは、お友達と一緒にやっていたのですか?

単独でやってました。「渋谷ってこんな感じなんだ」とか、とにかく『GALS!』を読んで日々研究。『GALS!』の真似をしてプリや写真を撮ることもありました。

本当だ!完全に真似していますね!

流行ってなくても気にしない!好きを貫く精神

 

『ピチレモン』の専属モデルになったきっかけは何だったのですか?

『GALS !』の連載が終わったタイミングで、『ピチレモン』に出会ったのですが、本当に輝いて見えてましたね。それからはポーズとか表情を参考にするようになり、ボロボロになるまで読み込みました。そのあと小6でオーディションを受けて、中学生の3年間モデルとして活動しました。

90年代への憧れは、その後もずっと続いたのですか?

はい。高校生のときもずっと憧れがあって、流行は過ぎていましたが、学年で1人ルーズソックスを履いていました。生徒会長をやっていた時もです(笑)。

生徒会長が1人ルーズを履いているというのも面白い!

「流行ってないぞー」と後ろから言われたりもしたんですけど、「知ってる!」って思って履いていました。

好きなものを貫いたのですね!

高3の時、指導部の先生に呼び出されて「お前はなんでルーズソックスを履いているんだ」って言われて…。校則違反じゃないので「何も悪いことしていない」という態度で話をしたら「お前は素晴らしい!」って褒められたことがあります。

怒られるのかと思いきや…!

「今の時代の子は周りに流されすぎなので、自分がいいと思ったものをやり続けているのがいい」と。

貫くのって簡単なことじゃないですもんね!かっこいい!

 

 

周りより秀でていたい!落書き・ポーズを研究

 

プリ帳の最後のページに、使用期間と「最後まで見てくれてありがとう」というものがありますが、懐かしいです!

流行っていましたよね。ネットにアップされている画像に名前を加えて使うのが一般的でしたが(※写真左)、オリジナルでも作っていました(※写真右)。

「プリを撮るとき、どんなことに力を注いでいましたか?

ハートやガッツポーズという定番ポーズ以外でプリを撮れた方がカッコイイと思っていたので、友達と「今日なにやる?」って、撮る前に頑張って考えていました。

落書きもたくさんしていますね!

今はあえて書かないのが流行っていますけど、当時は落書きをあまりしていないと時間内に書けなかった“失敗作”に見えてしまうので、いっぱい書いてこなれ感を出していました。

それらは、誰かに対してのアピールだったのですか?

女の子特有の感覚だと思うのですが、やっぱ仲間内で競い合うというか、落書き・ポーズ・テーマにおいて、周りより秀でていたいという思いが強かったですね。

大人数で撮るプリをプロデュース!

 

「大人数で撮っているプリが多くありますね!

最高人数は30人!私が仕切ってみんなを押し込んで撮影に臨んでいるので、大人数のプリは必ず私が端にいるんです(笑)。

ディレクションしていたのですね!

この頃、携帯の画質があまり良くないので、全員をプリに収めたいなと思って。

それにしてもこのプリ(※写真上から2枚目)、とてもクオリティーが高いです!大人数なのにちゃんとコンセプトがあるポーズや落書きがされていて、撮る前から全部計画していないと出来ない作品ですね。

小・中の時は落書きなど込みで、みんなプリのプロセスを楽しんでいましたが、高校に入ってからは、「私字が汚いから書いておいてー」とか、“落書き担当”が決まっていきました。私はプリ大好きだったので、ポーズや落書きをすることが多かったです。

流行には乗りつつも“自分らしさ”は忘れない

 

どういったブランドが好きでしたか?

小学生のときは「ROSE FAN FAN」が好きでした。「COCOLULU」のケツルル(後ろに「COCOLULIU」のロゴが入ったデニムパンツ)が流行した中学時代は「Jassie」派だったので、私はあえて「Jassie」のものを履いていました。

流行には乗りつつも、自分らしさを出していたのですね!

はい。ロンTが流行った時は、みんながキャラ物を着ているなかあえてクロスのデザインを選ぶなどしていました。

周りと違うことをするのは、怖くありませんでしたか?

あまり気にならないですね。むしろ人から「何それー」って言われたいという思いが強かったです。

プリを撮る時、ファッションも意識していましたか?

そうですね、違いを出したいので、同じ洋服を避けていました。ただ、結局落書きで見えなくなっちゃっていましたけど(笑)。

プリといまの仕事の繋がりって?

 

プリ撮影やプリ帳を作っていた経験が、いまのお仕事にも活きていると感じました!

確かに「この四角の中で何を表現しよう」と、制限のある中で考えたりすることはたくさんしていましたね。プリ帳を作る時も「プリだけのページだと飽きるかな」とか「パッと見でインパクトあるものを作りたい」とか考えていましたし。

友達を仕切ってプリを撮っていたその統率力も、ディレクターというお仕事につながっていますよね。(※NHKでディレクターも兼任中)

最近の若者は、プリ帳を作る文化があまりありませんが、改めてプリ帳を作っていた学生時代を振り返るとどうですか?

その時その瞬間にしか書けない文章だったりデザインだったり、今やろうと思ってもできない物ばかりで、そういった意味でもプリ帳って面白いなと思いますし、作っていて良かったと思います。

デジタルにはない良さがありますよね。

Instagramって写真を厳選して載せていると思うのですが、プリ帳は自己表現の世界なので、自分用の思い出としてとっておける点もいいと思います。流行っていなくても、是非作ってみてほしいですね!

 

 

 

PROFILE

 

稲垣 涼子 Ryoko Inagaki

2005年入社以来、プリントシール機の商品企画に携わる。現在はマネージメントも行う。
趣味は、美味しいもの、漫画、カラオケ、ホットヨガ、ダイビング、脱出ゲーム。なんでも記録するログ癖あり。
今年の目標は、社内の仕組みを整える、社外の方とたくさんお話する、家をキレイに保つこと!

久保 友香 Yuka Kubo

東京大学大学院博士課程修了(環境学博士)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師、東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員など歴任。著書に『「盛り」の誕生―女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』(太田出版、2019)。
好きなものは、ビール、羊羹、芸能ニュース。
今年の目標は、昨年に引き続き、昭和初期を知るおばあちゃんたちとたくさん会うこと。

 

長田 麻衣 Mai Osada

総合マーケティング会社を経て、SHIBUYA109のマーケティング担当となる。
毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。
今年の目標はSHIBUYA109 lab.所長として若者に関する講演に講師として登壇すること。そして「大人っぽさ」と「透明感」を兼ね備えた女性になること。

加藤 里奈(カトリーナ)

NHK名古屋キャスター。東海北陸で放送するコーナー「カトリーナのトレンド探偵」では、ディレクターも兼任。取材から編集まで行う。同局で「キャスターリポート大賞」の表彰歴がある。その他、モデルやタレント、ラジオDJとしても活動。
趣味は野球・バスケ・ラグビーなどのスポーツ観戦やダンスをすること。ドラゴンズはファン歴21年。
Twitter : @KATORiiiiiiNA
Instagram : @rinakatoktriiina