今回は、2026年上半期の若者トレンドを振り返りながら、SHIBUYA109 lab.が注目している下半期のトピックをご紹介します。
INDEX
目次
上期トレンド①「セロ活」:人や自然から癒しを吸収。スマホ疲れ時代の整えるトレンド
上期トレンド②ファッションスピ活:お出かけついでに神社へ。日常の延長で楽しむスピ活
下半期に注目のトレンドを3つピックアップ!
上期トレンド①「セロ活」:人や自然から癒しを吸収。スマホ疲れ時代の整えるトレンド
2026年上半期の若者トレンドを読み解くうえで欠かせないキーワードが「セロ活」です。「セロ活」とは、幸せホルモンとよばれるセロトニンを意識しながら、癒しを得たり、頭をクリアにしたり、心身のバランスを整えたりする活動のことを指します。
2026年上半期に「ドパガキ」というスラングがSNS上で話題になりました。
「ドパガキ」とは「ドーパミン中毒のガキ」を略した言葉で、ショート動画やゲーム、SNS等の強い刺激を求め続けてしまう若年層を揶揄する言葉として若者の間でも使われています。
若者たちはSNSやショート動画などによるスマホ疲れを自覚しながらも、コンテンツから完全に離れることは難しく、快楽的な消費と疲労感の間で揺れ動いている様子が窺えます。
一方で近年、スマホ疲れを感じる若者たちの間で、心身を整える行動や、少人数でゆっくり過ごすオフライン体験への関心が高まっています。
SHIBUYA109 lab.が2026年3月に発表した「Z世代のアテンション・デトックスに関する調査」では、若者の半数以上が「スマホ疲れ」を認識していることや、スマートフォンから離れる行動が消費にも影響し始めていることが示されています。
(参考:https://www.shibuya109.co.jp/shibuya109lab/reports/20260312/ )
そのような背景のなかで注目されているのが「セロ活」です。
セロ活は、スマートフォンから離れること自体が目的というよりも、スマートフォンに戻るために自分を整えるエネルギーチャージ行動と捉えられます。
散歩、読書、映画館、サウナ、友人との朝活など、少人数でゆっくり過ごせる体験が注目される背景には、過度なアテンション(注目)から一時的に離れ、自分の感覚を取り戻したいという意識があると考えられます。
■セロ活の一例
【山手線一周ウォーキング】
山手線一周、約40~45kmを12時間ほどかけて行うウォーキング。ゴールしたときに達成感が得られることから、ストレス発散の方法として注目。チャレンジの様子をまとめたVlog形式のショート動画がSNSで多く見られ、楽しまれています。途中でカフェに立ち寄ったり、気になるスポットに寄り道したりしながら、マイペースに楽しめるのも魅力です。

【田舎生活系インフルエンサー】
自然豊かな田舎での生活の様子を、ショート動画を中心に投稿しているインフルエンサー。農業の様子や、人々のあたたかなふれあいを見ることで癒されると注目を集めています。

【クラフト体験】
チャームチェーンにビーズやカプセルトイを組み合わせる「ガチャガチャアレンジ」や、キャラクターやモチーフを形づくる「アイロンビーズ」など、手軽に楽しめるクラフト体験が人気を集めています。
自分らしい世界観を表現できるだけでなく、作業に集中して没頭できることも魅力のひとつです。
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「ドパガキ」というネットスラングが普及する背景には、若者たちがSNSを中心に多くの刺激的な情報に触れざるをえない環境におかれている現状が窺えます。
SNS疲れへのカウンター的な行動がこの「セロ活」ですが、スマホを一時的に離れオフラインで時間を過ごすだけでなく、「田舎生活系インフルエンサー」など、SNSで「ドパコンテンツ」を回避し、癒される情報を楽しむことも手段の一つになっています。
デジタルから離れたいけど離れられない、デジタルネイティブな若者ならではの動向と捉えています。
上期トレンド②ファッションスピ活:お出かけついでに神社へ。日常の延長で楽しむスピ活
2026年上半期は、神社参拝やパワースポット巡り、お守り・お札モチーフなど、スピリチュアルな要素を日常のお出かけやファッションの文脈で取り入れる「スピ活」も注目されました。
「ファッションスピ活」は、本格的な信仰行為というよりも、友達とのお出かけやカフェ巡り、街歩きの延長で神社やパワースポットに立ち寄り、お守りや御朱印、境内の雰囲気、写真映えするスポットなどを楽しむようなライトな行動として捉えられます。
願いごとや内省といった“整える”要素を持ちながらも、ファッションや推し活、写真投稿とも結びつきやすい点が特徴です。
「セロ活」と同様に、ファッションスピ活も、若者が日常のなかで自分の心を整えるための行動として広がっています。
■ファッションスピ活の一例
【神社・パワースポット巡り】
お出かけスポットとして、神社・パワースポットが選ばれることが増えています。恋愛運や金運など、アップさせたい運気に合わせて場所を選ぶ、カジュアルなスピ活の一つになっています。
中でも、縁結びにご利益があるとされる東京大神宮や、強運厄除の神が祀られている小網神社が注目されています。

【お守りアイテム収集】
大田区にある成田山圓能寺のドット柄のお守り(通称・ギャルソンお守り)や、世田谷区にある桜神宮のレース刺繡があしらわれたお守りなど、デザイン性の高いお守りを身に着けることが人気になっています。

【推し活×スピ活】
アイドル・アーティストのライブ当選を願う「当選祈願」や、推しが見えやすい席が当たるよう「神席祈願」を目的にスピ活をする動きが高まっています。SNSでは、推し活にご利益があるという「推し活神社」に関する投稿も多く、推し活の一環として楽しまれています。

SHIBUYA109 lab.の実施するインタビューでは、
「自分で解決できないこと、何かに頼りたいけど、友達にはあんま言えないなみたいなことを、不安な気持ちをなんとなく和らげてくれる感じ。(10代・女性)」「習い事の試験の前に神社に行く。やれることはやったから最後の神頼みという感じで、最終手段の位置づけ。(10代・女性)」
という声が聞かれており、若者が日常生活を過ごすうえで、心のよりどころをみつけたい欲求が高まっている様子が観測されています。
「ファッションスピ活」は、「当選祈願」など、願掛け的な要素だけでなく、デザイン性の高いお守りや、ストーンをカスタマイズできるブレスレットなど、撮影しがいのある映え要素やカスタマイズの余白があることで、若者のトレンドに欠かせないポイントが詰まっていることが注目の背景にあります。
下半期に注目のトレンドを3つピックアップ!
2026年下半期は、上半期に広がった「セロ活」「ファッションスピ活」に通じる“自分を整えたい”というムードが、お出かけ・ファッション・フードへと波及していきそうです。
静かな空間でゆっくり過ごせる「博物館・美術館」、10年前の空気感をまとい直す「2016ファッション」、そして食感そのものを味わう「もち系フード」。
この3つを、下半期の注目トレンドとしてピックアップしました。
【博物館・美術館】
博物館や美術館がお出かけスポットとして新定番に。天候に左右されず、静かな場所でゆっくり楽しめるだけでなく、写真映えする大型展示を撮ったり、体験型の展示を試したりと、身近な人と様々な楽しみ方ができる点も人気の理由となっています。

【2016ファッション】
2016年に流行した、カラフルで元気な雰囲気のアイテムが再燃。今夏は透明素材の「ジェリーバッグ」や「ジェリーシューズ」がトレンドになりましたが、下半期も約10年前のアイテムを取り入れるリバイバルの流れが続く見込みです。英字レタリングが大きくプリントされたトップスや、ランジェリーライクなレースのモチーフのアイテムが支持を集めています。

【もち系フード】
お餅のような食感を楽しむフードが注目を集めています。クリームやフルーツを餅で包む「上海もち(フルーツ)」は、中国のライブ配信での調理シーンをきっかけに話題化し、大久保の「芋喜糖水」など中華系スイーツ店がSNSで名前を挙げられる機会も増えました。
また、求肥をチョコでコーティングした「求肥入りチョコ」は、手作りしたチョコを実食する様子を収めたASMR動画が多く投稿されています。

2014年にトレンドとなったスクイーズや2016年のファッショントレンドなど、およそ10年前のトレンドに注目が集まりそうです。これまでも昭和や平成のレトロカルチャーは若者に楽しまれてきましたが、過去の時代のカルチャーを新鮮に受け取り、編集して楽しまれることが主流でした。
これに対し、2026年下半期は若者たちが幼少期の頃に憧れていたことを当事者として懐かしみながら楽しむという、他世代が介入しにくい、自分たちだけで楽しめる「懐かしいトレンド」を求めていることもうかがえます。